既存方法に比べ低コスト・低環境負荷な
“人工宝石モアサナイト製造方法” の特許を取得しました

世界で最高峰の輝きをもつエシカルな人工宝石“モアサナイト” を使用した、日本初のモアサナイトジュエラーBrillar(代表取締役社長:小原亦聡、以下ブリジャール)は、京都大学大学院工学研究科教授木本恒暢(きもとつねのぶ)氏と弊社代表・小原亦聡(おはらいそう)を共同発明者として、モアサナイトの製造方法について日本国内での特許を取得しました。また、JETROの“中小企業等外国出願支援事業”の助成をうけ、米国および中国における国際特許も申請中です。

特許の概要

【特許番号】特許第6903362号
【発明の名称】合成宝石用結晶体の製造方法
【特許権者】株式会社Brillar
【発明者】木本  恒暢、小原 亦聡
【登録日】令和3年6月25日

モアサナイトは炭化ケイ素の結晶で、化学式ではSiCと表されます。SiC結晶は半導体デバイスの材料としても広く使われていますが、半導体デバイス材料用のSiC単結晶は通常琥珀色をしているため宝石利用には向いていません。そのため宝石としての利用を目的とした“無色透明で輝きを持つSiC結晶”は、主に先行技術(※)のような適切な環境下で種結晶を成長させる方法で専用に製造されています。※ 特許:特表2000-503968号公報

本特許では、本来であれば宝石としての利用に適さない有色のSiC結晶体を、合成宝石モアサナイトとして利用可能なように無色透明化する方法を提供しています。

本発明を適用することにより、以下のようなメリットが見込まれます。

①商業的に利用できる半導体デバイス製造用のSiC単結晶インゴットを利用して、モアサナイトを今までの主流の製造方法に比べて比較的低コストで製造することが可能になる

②半導体デバイス用のSiC単結晶体を製造する際に発生した形や質などが規格に適合しない「規格外のSiC単結晶体」の有効活用(再利用)が可能となる

③半導体デバイス用のSiC単結晶を合成するための材料と、モアサナイトとしてのSiC結晶を合成するための材料はほぼ同じため、モアサナイトを有色SiC結晶から合成する事で、半導体デバイス材料の素材確保を阻害する可能性が小さくなる。

無色化方法の概要

半導体デバイス材料用のSiC結晶が有色なのは、低抵抗化のための不純物を含んでいる影響です。この不純物を含むSiC単結晶に、独自の処理を施すことによって、SiC結晶内に特定の欠陥を生成し、この欠陥準位に、不純物準位から励起される電子を捕獲させることによって、460nmの光吸収をなくし、これにより、不純物を含むSiC単結晶の無色化を図ります。

特許取得の背景:ブリジャールがモアサナイトの製造に取り組む理由

ブリジャールは日本国内初のモアサナイト専門ジュエリーブランドとして2017年に創業し、日本国内におけるモアサナイトの普及に貢献してまいりました。

天然の宝石、特にダイヤモンドは、“採掘における環境破壊”、“児童労働をはじめとした人権問題”、“紛争資金の資金源になる”といった深刻な問題を抱えています。モアサナイトは、このような問題から解放された、極めてクリーンでエシカルな人工宝石です。

今までの製造方法に較べ、製造にかかる時間やエネルギーのコストをさらに抑えた製造方法を開発することで、このような多くのメリットを持つモアサナイトの更なる普及に貢献できると考えております。
さらに、開発した技術を研究結果から実用段階にブラッシュアップしていく過程では、ブリジャールがこれまでに培ってきた大手半導体メーカーとの繋がりが大きな促進力になることも期待しております。

また現在は海外の企業で製造したモアサナイトルース(裸石)を厳選し、契約工房でジュエリーに加工していますが、自社でルース製造に取り組むことにより、今まで以上に安定的にモアサナイトジュエリーの提供が可能になると考えております。

特許取得の背景:ブリジャールがモアサナイトの製造に取り組む理由

研究室見学(右)木本恒暢氏、(左)小原亦聡  ※撮影時のみマスクを外しています

京都大学 大学院工学研究科 教授 木本 恒暢(きもと つねのぶ)氏より本特許および本研究の半導体業界側からみた意義についてコメントをいただきました。

『モアサナイトは窒素不純物を含むと着色し、宝石としての価値が低下します。窒素混入のないモアサナイトを作製するのは比較的困難で高コストとなります。
本特許を活用すれば、多少の窒素を含むモアサナイトであっても無色透明化することが可能となります。

モアサナイトは、エレクトロニクス分野では炭化ケイ素(SiC)の名称で知られる半導体です。特に、コンピュータの電源、インバータ家電、電気自動車や電車のモータ制御などの分野で「省エネの切り札」と呼ばれている画期的な半導体です。この半導体の高純度結晶が宝石として高い価値を有することは、学術的にも工業的にも大変興味深いです。
モアサナイトの知名度がもっと上がれば、炭化ケイ素に興味を持つ人がもっと増えて、素材としてより広く世の中の注目を集めることができると期待できます。

また、現状においてもモアサナイトの製造エネルギーは人工ダイヤモンド(ラボグロウダイヤモンド)の製造エネルギーと比較して1/100以下という環境に優しい人工宝石ですが、この研究の成果により半導体として使えない炭化ケイ素結晶など本来廃棄品となる素材も宝石に再利用することが可能となると、更なるSDGsへの貢献にも繋がります。』

モアサナイトとは

SiC結晶の宝石で、無色透明でキラキラと輝くモアサナイトは1893年に隕石から発見された天然素材です。

ダイヤモンドの2.5倍ともいわれる世界最高峰の輝きと高い耐久性を持ち、ダイヤモンドに非常に似ていながらも、衝撃への強さ(靭性)、曇りにくさ(低親油性)などにおいてはより優れた性質を持っていることも特徴です。

天然モアサナイトは希少性が高く市場にはほとんど出回りませんが、米国企業が製造に成功し1998年に人工モアサナイトの販売を開始しました。この際に取得した製造特許が2015年に米国で有効期限を迎え、以降世界各国で有効期限を迎えたことから、現在では米国や中国など各国で質の高い人工モアサナイトの製造が行われています。既にアメリカでは消費者に広く受け入れられ、婚約指輪の選択肢の一つとしても支持されています。

日本国内でも、近年ジュエリーサプライヤーや消費者の中で、価格面やトレーサビリティに配慮したジュエリー素材として人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)やフェアマインゴールドへの注目が高まっています。
同様にモアサナイトについても、採掘に関わる諸問題から解放されたエシカルな点や、素材自体が優れている点、コストパフォーマンスが高いといった点から年々注目が高まり、消費者や日本国内での新規取扱ブランドが増加しています。

弊社ブリジャールも、販売を開始した2017年より3年連続売り上げ20%増を達成し、また主な顧客接点であるインスタグラムフォロワー数も直近1年間で約20%増加し、現在2万フォロワーを突破するなど、注目する消費者が着実に増えている人工宝石です。

Brillar〈ブリジャール〉ブランド概要

ブリジャールは、モアサナイトの可能性に着目した日本初のモアサナイト専門ジュエラーとして2017年に誕生し、今年5周年を迎えました。美しい輝きや素材としての素晴らしさを持ちながら、宝飾の世界の背後に隠れる諸問題からも解放された次世代ジェムストーン・モアサナイト。
ブリジャールは豊かな自然と明るい人類の未来を願い、表面的な飾りだけではない宝石の持つ真のクリーンな美しさで、より多くの方を輝かせることを目指しています。

ブランド名:Brillar(ブリジャール)
・販売開始日:2017 年 1月
・展開商品 :モアサナイトを使用したリング・ピアス・ネックレスなどのオリジナルジュエリー
・直営ショールーム:東京・銀座(株式会社 Brillar 本社)、大阪・心斎橋